男性俳優が全ての場面でカフスボタン(カフリンクス)を着けている映画。
美術館の警備員までも!

How to steal a million の邦題が『おしゃれ泥棒』。
ジバンシー、カルティエがオードリーの衣裳、ジュエリーを提供。
邦題の通り実におしゃれな映画ですが、オードーリーだけではなく男性のファッションにもご注目を。

『おしゃれ泥棒』1966年 アメリカ
監督:ウィリアム・ワイラー
出演:オードリー・ヘップバーン (贋作者の娘 ニコル)
   ピーター・オトゥール (私立探偵 サイモン)
   ヒュー・グリフィス (贋作者 シャルル・ボネ)



資産家で美術品コレクターのシャルル・ボネは、実は美術品の贋作者。
彼が作ったビーナス像が美術館に展示され科学鑑定にかけられることに。
娘のニコルは贋作がばれるのを阻止すべく、私立探偵サイモンと美術館からビーナス像を盗み出そうとするが・・・。

「ボヨヨ〜〜〜ン」
ティンパニの間延びした大きな音。
「ところで科学的な精密検査には立ち会いますか?」
美術館からの使いに想定外の科学鑑定を切り出されたニコルとその父の反応を表わしてます。
昔のコメディードラマでお馴染の音響効果が、この映画で使われていたとは。
ドリフのずっこけを思わせる絶妙な間合いの1コマで、ついつい繰り返して観てしまいました。

この映画で特に目を奪われたのは、天才贋作者であるシャルル・ボネの強烈なキャラクター。
そして、高い美意識をもつ彼の装い。

彼は19世紀に使われていた絵の具を使用するために、当時のキャンバスから絵の具を
剥がす手間も惜しまない。
「ゴッホだってこんな苦労はしてない」と言い、
「彼は一生に一枚の絵しか売れなかった」「それに引き換え私は彼の名誉のために2枚も売った」と、
自分の贋作を擁護するツワモノ。

主役でもないのに8回も衣裳を替える。
黒いタキシード、青いタキシード、黒のスーツ 灰色のスーツ等。
その袖にはいつでもカフスボタン(カフリンクス)が留められています。
絵を描くために作業着を着ていても、もちろんガウンを羽織っていてもです。
想像してみてください。
青いビロードのガウンに大きな赤茶のシルクスカーフ、胸のポケットには白いポケットチーフ、首から下げた丸い眼鏡。左手に新聞、右手に朝の紅茶。
そして、カフスボタン。
この着こなしに憧れてしまうのは私だけでしょうか。
まずはシャルル・ボネのようにカールした眉毛、グリッとした眼、縦に伸びたあごひげが必要かもしれませんね。

<おまけ>
美術館に忍び込む前日、私立探偵はニコルに清掃人の服を着せ、「合格だ。ジバンシーの服が休める」と言いました。
唯一、ニコルがおしゃれとはいえない格好をさせられるシーンです。
しかし、オードーリーが身に着けると清掃服も可愛らしい。
本当はジバンシー製の清掃服ではないでしょうか?